不登校、一体、いつまで待てばいい?:動き出す時期のポイント

不登校のお子さんが安心してご家庭で必要な充電期間を過ごせると、少しずつ外に目が向き始めます。かといってすぐに登校というのは難しいものです。ここまで待ったのに、まだ待たなければいけないのか、と焦るかもしれませんが、焦りは禁物です。

お子さん自身、好きなこと、興味のあることなら、外に出やすいですし、「塾なら行ってみる」「〇〇を習いたい」などと言い出すお子さんもいます。「学校も行っていないのに遊びに出るなんて」「塾よりまずは学校でしょう」と思われるかもしれませんが、「まず学校」とは限りません。充電期間を経て動き始めるのは学校以外ということはよくあります。「学校は最後」というくらいの気持ちで構えていましょう。

学校までの道のりをどう進んでいいか分からないようであれば、学校や相談機関などに相談し、今後のことを考えていくことがサポートになります。
在籍している学校に戻ることを目指すのか、別の選択肢を選ぶのか、進路の幅をどう広げるかということを考えるのは、お子さん一人で考えるのは難しく、大人も一緒に考えることになります。
この時期のお子さんなら、近い将来の見通しが持て、前に進むことができます。親以外にも手伝ってくれる大人がいると心強いはずです。
相談機関を利用して将来につながる道の選択肢を増やし、お子さん自身で選んでいけるようサポートしていきましょう。

サポートしてくれる機関

教育相談

市区町村が設置している相談機関で、無料で利用できます。親子別々に相談に乗ってくれる他、適応指導教室を備えていることが多く、学校に通う代わりに通所できます。公立校なら出席のカウントになることがほとんどです。学習支援をしてくれたり、小集団での活動があったりします。少人数でスタッフが手厚く見てくれますし、在籍校と同じ教育委員会管轄なので、在籍校との連携もしやすいのでお勧めです。

大学附属の臨床センター

心理の専門家を養成する学科のある大学は、附属の心理臨床センター等があります。大学教員の指導のもと、学生がカウンセリングを担当します。一般的なカウンセリングよりは低価格でカウンセリングが受けられ、お子さんにとっては年齢の近い学生が担当してくれるため、通いやすいことが多いようです。

フリースクール

教育委員会の管轄ではないため、出席扱いにはならないこともありますが、様々な特徴のある居場所的な存在です。やりたいことを自由にできたり、仲間に出会えたりします。ただ、学校批判の強いフリースクールもありますので、選択によっては学校が遠ざかるリスクはあります。

メンタルフレンド、家庭教師等の家庭訪問

自治体が学生等に研修を受けさせ、家庭訪問してくれるメンタルフレンドという制度もあります。年の近い話し相手、遊び相手として、人とのコミュニケーションの第一歩として、訪問を楽しみにするお子さんも多いようです。

この時期、勉強を気にしているお子さんなら、家庭教師という選択をすることもあるでしょう。

医療機関

不登校のお子さんの中には、誰にも言えない「生きづらさ」を抱えていることがあり、「病院に行ってみる?」という誘いかけにホッとした表情を見せることもあります。お子さんのメンタルヘルスを支える医療機関といえば、児童精神科になります。発達の偏りや理由の分からない「生きづらさ」がある様子なら受診もひとつの方法です。

サポートのポイント

以上のように、不登校のお子さんをサポートしてくれるところは色々あります。オフィシャルなサポート機関の利用だけではなく、ゆるやかに迎えてくれる外出先の選択肢も作ります。理解のある祖父母宅や親戚のお宅に泊りがけで遊びにいくのもいいでしょう。親なしで、というのも自信がつきます。やってみたいと言う習い事があったら、否定はせず一緒に調べたり、見学に行ったりするのも動き出すきっかけになります。

ポイントは、居場所(物理的な居場所というだけではなく、心のよりどころのような心の居場所も含みます)を家庭以外になるべく多く作ること、それが将来自立して生きていく力を養う場になることが大切です。親としては在籍している学校への復帰が第一と思われるでしょうが、お子さんにとっては必ずしもそれが最善の選択肢ではない場合もあります。

あすなろスタッフ:はるみ
通信教育、家庭教師による自宅学習や塾、フリースクール、場合によっては転校など、お子さんの状況や希望によって考えていきましょう。よく情報収集をし、見学に連れて行き、話し合いをし、最終的に決めるのはお子さん自身です。

学校との連携

サポート機関を利用すると同時に、学校のスケジュールもリサーチしておきます。遠足や運動会、文化祭といった予定だけでなく、クラス通信、学年だよりなどを定期的に手に入れるようにし、学校の様子は把握できるようにしておきます。

学校の話題が大丈夫なくらい元気になっていれば、好きな科目、部活など、参加できそうなものがないか、お子さんと話し合うのもいいでしょう。ただし、参加できそうという気持ちがあっても、一歩を踏み出すのはタイミングによります。学校との連携は続けつつ、基本的には待っていてもらい、機会の選択肢をできるだけ多く作りましょう。

あすなろスタッフ:はるみ
相談の窓口になるのは、担任の先生の他、養護教諭、スクールカウンセラー等になることが多いでしょう。電話や家庭訪問、保健室登校、相談室登校…やり方は色々あります。登校する、しない、の前に、放課後、誰もいない時間帯になってから親と学校に行ってみる、教室に行って席に座ってみる、というのも気持ちの準備になります。

おわりに

不登校のお子さんは、時期が来れば自分の意志で少しずつ社会的な活動をし始めます。ここまでかかる期間は数年単位のこともあり、親としては焦りますが忍耐強く見守り続けましょう。

見守るというのは、「何も言わない、何もしないで好きにさせる」ということとは違います。無理やり学校に行かせることはしませんが、この時期のお子さんには、外に出る選択肢はできるだけたくさん示していきます。
最終的にはお子さん自身が自分で決めて動けるよう、サポートしていきましょう。

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