不登校のお子さんの自己肯定感を高めよう

不登校の理由は、様々なことが複雑に絡み合って起こると考えられており、理由はひとつではないものです。
不登校が長引くと、不登校のきっかけとなったことと、不登校が長期化する要因が変わってくることがあります。
多くは不登校の直接のきっかけとなった問題が解消しても、その頃には長く休んだことによる学校への不安に苛まれます。

みんなが普通に行けている学校に行けなかったこと、ギブアップしたことの後ろめたさなどにより自己肯定感の低くなっているお子さんが少なくありません。
自己肯定感は不登校解消のキーワードとも言えます。

自己肯定感がどうして大切なのか

9~10歳くらいになると、自分のできていないことに気付くようになり、自己に厳しくなります。
そしてさらに高学年くらいになると自分のことを客観的に見ることができるようになります。
思春期には人目が気にし、他者と自分を比べることが多くなります。
この時期、自然と自分のできないことにフォーカスを当てがちです。

不登校のお子さんは自己肯定感を低くしていきますので、得意なこと、興味のあること、性格など、自分について多次元的な捉え方をしていくことが大切になります。

自己肯定感が高いと、自分に対して自信が持て、失敗しても自己否定をすることなくまた前に進むことができます。
自分が成長していると感じること、誰かの役に立てていると感じること、やればできるという自己効力感を感じていること等が影響します。

自己肯定感を高めるかかわり方

お子さんの自己肯定感を高めるためには、よいところを見つけ、認めていくことが大切だとよく言われます。
それはお子さんが自分自身の評価をする時、成績等の客観的な評価だけでなく、周囲の評価、その情報の主観的な評価を合わせて作っていくためです。

親はお子さんが自分自身を価値ある存在として自分自身を受け入れられるように、また自分が人の役に立てている、という「自己効力感」を感じられるようにお子さんへのことばかけを意識しましょう。

ポイント1 【他の子、兄弟と比べないこと】

「皆、できるのに」というように同年代の友達と比べないように気をつけている方は多いと思います。
ただ、無意識の内に兄弟はつい比べてしまいがちです。
そうでなくても親の愛情を奪い合うライバルですから、お互い比較してコンプレックスを抱いているものです。
親は劣等感を強めないように声かけや態度に意識を向けていきましょう。

ポイント2 【プロセスをほめること・認めること】

子育てにおいてほめることの大切さは様々なところで見聞きします。
ですがほめ方というのは意外と難しく、不登校のお子さんをどうほめていいか分からないというお話をよく聞きます。

ほめる対象になる行動は、客観的にできていること、他の子と比べてがんばったことを「スゴイね」とほめるだけではありません。
結果も大事ですが、がんばろうと思ったこと、がんばり続けられたことを認めていきましょう。
できたか、できなかったか、といった結果でしかほめられなければ、結果を出すことが何より大事だと思うことになります。

高学年になると、ほめ言葉がまっすぐに届かないことがあります。
何かに一生懸命になっていた時は、結果ではなく「集中してたね」「一生懸命やってたね」と過程を認めることが大切です。
関心を持って信じて見守ってくれることが何よりうれしいことで、また何かやってみよう、という力につながります。
結果だけでなく、プロセスを大事にできた時、長くチャレンジ精神を育てることができます。

ポイント3 【叱る時は行動に焦点を当てる】

片付けができなかったり、兄弟げんかをしたりした時、「あなたが悪い」という言い方についなってしまいがちです。
ですが、片付けなかった行動、兄弟に言ってはいけないことを言ったという「行動」がよくない訳で、お子さんが悪いわけではないのです。

お子さんによっては「どうせ自分は悪い子」「やっぱり自分はダメな子」と否定的に自分を捉えてしまいます。
良くないのは行動であり、あなたのことは大好き、ということが分かるように、叱る時には行動に焦点を当てるようにしましょう。

ポイント4 【お子さんをポジティブにとらえる】

落ち着きがなく、「静かにしなさい」とよく注意される子も、見方を変えれば「元気な子」です。
逆に消極的で引っ込み思案な子も「慎重に周りをよく見ている子」だと言えます。
できていないことや、苦手なことは目につき、注意することが増えますが、できていることには声をかけていないことが多いものです。

  • 飽きっぽい→好奇心旺盛
  • おとなしい→穏やかで人の話をよく聞く
  • せっかち→決断が早い
  • いばる→主張が出来る

このような見方をし、声をかけてあげると、お子さん自身の自己肯定感が高まり、自分を信じる力=自信がついてきます。

おわりに

お子さん自身が感じていることや考えていることを認め、ご家庭での役割を少しずつ増やしていきましょう。
「ありがとう、助かるわ」と言われれば、自己が役に立てている、という気持ちから自己肯定感につながります。

お子さんの自己肯定感を高めることを考える時、親自身も「不登校は子育てのせい」などと自分自身の自己評価を下げていると、お子さんに向き合うことができません。
お子さんを理解するのは大切ですが、自分は自分です。
このような自己肯定感が高まると、他人の目や他人の反応に惑わされたり、苦しめられたりすることが減ります。
また、失敗しても何とかなる、と立ち直れたり、人とも大らかに接することができたりするようになります。
他人の評価に惑わされず、人に何と言われても自分を信じる力を親子で養っていきましょう。

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