不登校の背景には様々なことが複雑に絡み合っているものです。きっかけとして、友達関係のトラブル、学業、学校や先生への反発心…お子さんに尋ねると原因らしきものを話してくれますが、どうもそれだけではないような気がする、ということもあるでしょう。また、お子さんの心もちとしては、根深いものが複雑に絡み合っている、ということもあります。
小学校入学前後くらいから、だんだん時間を見通す力がついてきます。けんかをしてもすぐに忘れてまた遊び始めていた頃と異なり、しばらく許してもらえない、噂されるとしばらく辛い、などと年齢を重ねるにつれて時間的展望が発達し、それとともに悩みや葛藤も増えることになります。中・高校生になるとさらに、将来のことを深く考えたり、過去のことを必要以上に重く捉えたり、ということもあります。思春期には親からの自立と依存というテーマでの葛藤や、身体の変化もあり、心身共に疾風怒濤の時期です。これを同年代と支え合って乗り切っていくものですが、その仲間がいない時、葛藤は大きくなります。
また、不登校は気持ちの問題と捉えられ、身体の訴えがあっても心のサインだと受け取られがちですが、そもそもは身体の不調から始まるという場合もあります。
不登校に隠れている心の病気・身体の病気
心と身体はつながっており、不登校のお子さんは休み始めに身体の不調を訴えることがあります。昼間には元気になっているのを見ると、親は仮病ではないかと思いがちです。ですが、心の不調が身体に出ていると思っていたら、実際、身体の病気が潜んでいることもあります。逆に、身体の病気が心に影響することもあります。女性の場合、女性ホルモンの変動からくる身体の不調が多く報告されています。
様々な心の病気
不安や葛藤が身体に出やすく、心身症的な傾向があるお子さんは、葛藤を回避し、現実に向き合いにくい傾向があるかもしれません。突然歩けなくなる、耳が聞こえなくなるといった症状により本来抱えている不安や葛藤から自分を守ったり、一時的に開放されたりします。また、対人恐怖や視線恐怖といった、精神症状がある場合は、薬の力を借りることも有効です。
自分の意思に反して不安な考えが浮かび、その考えを打ち消そうとして同じ行動を繰り返す、強迫症状やその傾向は、自分を守るためにて発生しています。強引にやめさせるようなことはせず、まずは信頼関係を築くことにより、少しずつ行動を変えていきます。
不登校に多い身体の病気:起立性の調節障害
「学校に行きたくない」「頭が痛い」「だるい」などと聞くと、私たち大人は、学校に行きたくないから元気がないのだと考えがちです。実際、精神的なストレスお腹や頭が痛くなることはあります。一方で、「起立性調節障害」という病気は、自律神経系の不具合で生じるもので、悩みがなくても身体に症状が出る病気です。学校には本当は行きたいのですが、身体症状がつらくて登校できなくなります。
この病気のお子さんは登校するだけでひどく疲れ、登校しても辛い状態となります。朝、起きられず、途中から教室に入りにくいなどといったことから、遅刻になる日は休むようになり、だんだんと不登校が定着していきます。
不登校から抜け出す見通しは?
早めの受診
心の病気も身体の病気も、まずは正しく理解することが大切です。結果的に不登校から抜け出す鍵となります。早い段階で病気について正しく知り、「まずは病気を治すことが大事」ということを受け入れることができれば、努力不足という誤解は生まれにくくなります。
ただ、先が見えない不安は「自分はだめだという」思いを強め、症状の悪化を招きます。だるくて動けないから動かない、動かない内に益々動けなくなる、そんな悪循環も生まれます。動ける時にはゆっくりでも身体を動かすようにししましょう。
起立性調節障害は思春期に多く、中学生の約1割に見られると言われます。朝が極端に苦手という場合には根底に身体的な問題が隠れているかもしれません。
高校選び
義務教育が終わった後の所属はあった方が安心です。
高校には大きく分けて、全日制高校、定時制高校、通信制高校の3タイプの学校があります。学年制か単位制かという区別の仕方もあります。また高校に通わなくても、高等学校卒業程度認定試験(高認)に合格すれば、大学受験などの資格は得られます。
定時制高校は、夜間の学校の他、昼間に授業のある学校もあります。学校行事などは全日制高校と変わりがなく、スクールライフを楽しむことができます。3年制の他、1日の授業数が少ない4年制の学校もあります。
通信制高校は、レポートや添削指導、テストなどで単位が認定される単位制の学校で、自宅やサポート校などでの学習が中心になります。実技科目や学校行事の際には登校しますし、週に数回登校する通学型の学校もあります。
おわりに
中学卒業が近づくと、将来への不安はお子さん自身も強くなります。このまま治らないのでは、と先が見えないことがストレスになり、回復を遅らせる要因になりかねません。
将来について、選択肢があること、自分の状況に合わせて選べることを伝え、情報収集をして、お子さんと一緒に考えていきましょう。
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不登校のお子さんの教え方についてよくあるご質問
不登校のお子さんの教え方でよくお問い合わせいただくご質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。 その他、疑問や質問がありましたらお気軽にお問い合わせください。