今、教育現場で注目されている「STEAM教育」について、ご存じでしょうか?
AI(人工知能)をはじめとする技術が急速に進化し、社会のあり方が大きく変わる中で、子どもたちに求められる力も変化しています。「STEAM教育」は、単に理数系科目の知識を詰め込むのではなく、科学・技術・工学・芸術・数学といった幅広い分野を横断的に学び、「社会の課題を解決する力」や「新しい価値を創造する力」を育むことを目的としています。
今回は「STEAM教育」とはどのような教育なのか、実例について紹介していきます。
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「STEAM教育」とはどんな教育?
「STEAM教育」と聞くと、少し難しそうに感じるかもしれませんが、その正体はとてもシンプルなものです。まずは、この5つの単語の頭文字を組み合わせた言葉だということを知っておきましょう。
- Science(科学):自然のふしぎを探る「なぜ?どうして?」の心
- Technology(技術):スマホやアプリなど、便利な道具や仕組みを使いこなす力
- Engineering(工学):快適な暮らしのために、ものづくりや仕組みを設計する力
- Arts(芸術・リベラルアーツ):美しいものに感動したり、自由に表現したりする力
- Mathematics(数学):筋道を立てて考え、数字や図形で世界を見る力
STEAM教育ではこの5つをバラバラに勉強するのではなく、全部を混ぜ合わせて学習していきます。様々な分野の知識を自由自在に組み合わせて、社会問題を解決したり、新しいものを創造したりする力を育んでいく、それがSTEAM教育の本当の目的なのです。
「STEAM教育」はお子さんにどのような影響を与える?
では、具体的にどのような影響があるのでしょうか?ここからは、STEAM教育がお子さんに与える影響についてみていきましょう。
〇自分で考える癖が身につく
STEAM教育では、物事の仕組みや順序を筋道を立てて考える場面がたくさんあります。例えば、プログラミングでロボットを思った通りに動かすには、「この命令を、この順番で出す」という考え方が非常に重要です。
このような思考錯誤を重ねることで、自分自身でゴールまでの道のりを考えて行動する力が自然と身につくと言われています。
〇疑問→学びに繋がる
「なんでだろう?」「どうしてだろう?」このような疑問を持つことは、学びを深める上で非常に大切です。
STEAM教育は、その疑問や不思議に対してただ正解を教えるのではなく、「調べてみよう!」と、さらに広げていきます。受け身の勉強ではなく、自分の「知りたい!」が原動力になるので、学ぶことがどんどん楽しくなるはずです。
〇失敗を恐れない強い心が育つ
ITの世界では「うまくいかないこと」は日常茶飯事。ロボットが思った通りに動かなかったり、実験が失敗したり…。でも、子どもたちはそこで諦めません。「どこが違ったんだろう?」「次はこうしてみよう!」と、試行錯誤を繰り返します。
この「トライ&エラー」の経験は失敗を恐れず何度も挑戦する精神を育みます。「失敗はゴールに近づくためのヒントなんだ」と学んだ子は、困難な問題にも粘り強く、前向きに取り組めるようになるでしょう。
〇創造力が高まる
美しいものに感動する心や、自由に表現する力も、これからの時代には不可欠です。
例えば、「科学の知識」と「アートの感性」が結びつけば、誰も見たことのないような美しい映像作品が生まれるかもしれません。このように、分野の壁を飛び越えてアイデアを掛け合わせることで、枠にとらわれないユニークな発想力が養われるでしょう。
〇仲間と協力する楽しさを知る
人でできることには限界があります。でも、誰かと協力することで、もっと面白いことができます。
STEAM教育では、チームで一つの作品を作り上げたり、課題解決に挑んだりする機会がたくさんあります。自分の意見を伝え、仲間のアイデアに耳を傾け、時には意見を戦わせながら、一つの目標に向かっていく。
この経験を通じて、多様性を尊重し、チームで協力する力が育まれるのです。
「STEAM教育」の事例
〇STEAM化ごんぎつね
12年間の一貫教育を行っている関西大学の初等部では、国語の授業で学習する「ごんぎつね」をSTEAMの観点から学んでいく「STEAM化ごんぎつね」を取り入れています。
例えば、ストーリーに登場する各キャラクターの心情理解、心情変化について、心理学の視点から見るとどう考えられるのか。作中の世界観、風景から考えられる、昔の人たちの生活における価値観や共存についての考え方。
「ごんぎつね」を単なる国語教材としてみるのではなく、多角的に見て学びを深めていくことを目的としています。
〇STEAMライブラリー
経済産業省が運営するSTEAMライブラリーは、誰でも無料で学べるオンラインコンテンツです。
サイト内にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)や様々な有名企業、大学の研究機関などが提供する、本格的な探究学習テーマが取り揃えられています。各のテーマには、専門家の分かりやすい解説動画や、自分の考えをまとめるためのワークシート、先生・保護者向けの指導ガイドまでセットで用意されています。
ご家庭のパソコンやタブレットから、いつでも「STEAMライブラリー」にアクセスできるため、お子さんの可能性を大きく広げてくれるはずです。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、「STEAM教育」について、その基本から具体的な事例までご紹介しました。
STEAM教育とは、単なる理系教育でも、特別な英才教育でもありません。教科の壁を飛び越えて、子どもたちが本来持っている「なぜ?」「もっと知りたい!」という好奇心を原動力に、「社会とつながる力」や「新しいものを創造する力」を育むための、新しい学びのスタイルです。
ご家庭でもまずは、お子さんの「好き」なことにアンテナを立てて、「面白いね!」と一緒に楽しむことから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、お子さんの未来を豊かにする、大きな可能性へと繋がっているはずです。
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