数学が苦手なお子さんの数は中学、高校とも学年が上がっていくごとに増えていきますよね。特に中学から高校に上がって高校1年生から分からなくなってしまう人が多いです。今回は高校1年生の数学の中でも場合の数と確率について書いていきたいと思います。場合の数と確率は普段の日常生活でも確率を考える場面があると思います。勉強以外でも使う場面があるので、役立つように内容をおさえていきましょう。
あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書に基づいて高校生のつまずきやすい単元の解説を行っています。
文部科学省 学習指導要領「生きる力」
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順列と組み合わせ
順列(Permutation)とは
順列とは異なるn個の中から異なるr個を取り出して並べる場合の数のことです。
例として、A、B、Cの3つの中から2つを並べる場合を考えましょう。書き出してみると、AB、AC、BA、BC、CA、CBのように6通りで、ポイントはABとBAを違うものとして考えることです。異なるn個の中から異なるr個を取り出して並べる順列の数は、
\(_n P_r =n(n-1)(n-2)….(n-r+1)=\frac{n!}{(n-r)!}\)
と表すことができます。
式に使われている「!」は階乗と読みます。1から整数nまでの積を表すときに使います。1~nまでの積はn!、1~10までの積は10!と表します。
組み合わせ(Combination)とは
組み合わせとは異なるn個の中から異なるr個を取り出す場合の数のことです。
例として、A、B、Cの3つの中から2つを取り出す場合を考えましょう。書き出してみると、{AB}、{AC}、{BC}のように3通りで、ポイントは順列と違い、ABとBAを同じものとして考えることです。異なるn個の中から異なるr個を取り出す場合の組み合わせの数は、
\(_n C_r =\frac{_n P_r}{r!}=\frac{n(n-1)(n-2)….(n-r+1)}{r(r-1)….3⋅2⋅1}=\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
と表すことができます。組み合わせではよく使う変換があり、難しい問題で使ったり、計算が簡単になったりと使うことが多いので覚えておきましょう。
\(_n C_r =_n C _{(n-r)}\)
この式は上の組み合わせCの式のrにn-rを代入すると同じになることがわかります。
よくある例題
順列と組み合わせの例題をいくつか紹介していきます。
例題 (順列)
4つの整数1,2,3,4から異なる3個を取り出して並べるときの3桁の整数の数。
解答
4つの整数から異なる3つを取って並べて出来る3桁の整数は
\(_4 P_3 =4⋅3⋅2=24\)
よって24通りです。
例題 (組み合わせ)
次の組み合わせは何通りか。
①7人から3人を選ぶ選び方
➁男子5人、女子2人の中から男子2人、女子1人を選ぶ選び方
解答
①\(_7 C_3 =\frac{7⋅6⋅5}{3⋅2⋅1}=35\)
よって35通りです。
➁男子5人から2人を選ぶ選び方は\(_5 C_2\) 通り、女子2人から1人を選ぶ選び方は\(_3 C_1\) 通りなので、求める組み合わせは、
\(_5 C_2 ⋅_3 C_1 =\frac{5⋅4}{2⋅1}⋅2=20\)
よって、20通りです。
例題 (円順列)
1~6までの数字の書かれた球が1つずつ、合計6つある。この球を円形に並べる方法は何通りあるか。
解答
異なる6つの球を円形に並べる方法は、
\(\frac{_6 P_6}{6}=\frac{6⋅5⋅4⋅3⋅2⋅1}{6}=120
よって120通りです。
円の順列を考えるときに気を付けなくてはいけないことは、回したら同じ場合があるという点です。例えば、時計回りに1,2,3,4,5,6という順番で円形に並べた場合と、時計回りに2,3,4,5,6,1という順番で円形に並べた場合では同じ並べ方になってしまう、ということです。
苦手克服法
よくある悩み
順列と組み合わせで一番よくつまずくのが、問題を見た時に組み合わせなのか順列なのか、つまりPで計算するのかCで計算するのかが分からないという時です。また、円順列のような特殊な場合には、その問題ごとに考慮しなくてはならないことが増えるので、公式に当てはめるだけでは間違ってしまうことがあります。
そんなあなたは
順列と組み合わせという分野では公式に当てはめるだけだと間違えてしまうことが多いです。まずは問題を読んで数字を見るだけでなく、どんなものをどのように並べたり、取り出したりするのかイメージしてから計算し始めましょう。
順列と組み合わせで意識するべきこと
この分野で出てくるPとCの公式は一番単純な場合の順列、組み合わせを求めるものなので、問題で条件が増えるとPやCを計算するだけでは解答にはたどり着けません。しっかりと自分が今求めようとしているもののイメージし、問題が分かりにくいときは図などに書き出して整理してから問題を解くようにしましょう。