集合と論理~論理編~(数と式)|高校数学のつまずきやすい単元を徹底解説!

数学が苦手なお子さんは中学、高校とも学年が上がっていくごとに増えていきますよね。特に中学から高校に上がって高校1年生から分からなくなってしまう人が多いです。今回は高校1年生の数学の中でも集合と論理について書いていきたいと思います。集合と論理の内容は数学はもちろん、他の教科の問題を考えるときに使ったりもします。


あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書に基づいて高校生のつまずきやすい単元の解説を行っています。

文部科学省 学習指導要領「生きる力」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

数学で習う「論理」

数学の論理では「仮定」が何で、「結論」が何かということがとても大切です。これを間違えると全てが破綻してしまうこともあります。ここでは数学の論理関係の問題を解く時に必要になることについて説明していきたいと思います。

命題と条件

「命題」とは、式や文で表されていて正しいか間違っているかがはっきりと決まるもののことです。数学の「論理」では、この命題を与えられて、その真偽や証明がよく出題されます。また、数学の論理での「条件」は命題と違って正しいか間違っているかが決まるわけではないもののことです。\(p\)という条件と\(q\)という条件があったとすると、「\(p\)ならば\(q\)である」というのが命題です。このように条件が組み合わさって命題ができています。

必要条件と十分条件

条件\(p、q\)について、命題「\(p\)ならば\(q\)である」は「\(p⇒q\)」と表されます。命題「\(p⇒q\)」が真であるとき、「\(p\)は\(q\)の十分条件である」といい、「\(q\)は\(p\)の必要条件である」といいます。また、命題「\(p⇒q\)」と命題「\(q⇒p\)」がともに真であるとき、「\(p\)は\(q\)の必要十分条件である」といいます。

逆、裏、対偶

命題「\(p⇒q\)」の「逆」は「\(q⇒p\)」、「裏」は「\(\bar{p}⇒\bar{q}\)」、「対偶」は「\(\bar{q}⇒\bar{p}\)」です。ここで、\(\bar{p}\)は条件\(p\)の否定を表しています。この3つの中で大切なのは対偶です。対偶に関しては

命題「\(p⇒q\)」の真偽は、その対偶「\(\bar{q}⇒\bar{p}\)」の真偽と一致する。

という重要な定理があります。逆、裏にはそのような定理はなく、もとの命題が真だからといって、逆や裏が真とはかぎりません。

背理法

背理法は数学の証明の手法の1つです。ある命題\(P\)を証明するために、\(P\)ではないと仮定して、矛盾を導き、\(P\)ではないという仮定が間違っていることを証明することによって、命題\(P\)の証明をするという方法です。主に「√2は無理数である」などの事実を証明する時に使います。

よくある例題

論理についての例題をいくつか紹介していきます。

例題 (命題の真偽)

次の命題の真偽を調べよ
①実数\(x\)について、\(x=1\)ならば\(x^2=1\)
②実数\(x\)について、\(x^2=1\)ならば\(x=1\)

解答

①\(x=1\)の時、\(x^2\)を計算すると\(x^2=1^2=1\)です。よってこの命題は正しいので真です。
②\(x^2=1\)の時、\(x\)は\(x=±1\)ですので、\(x^2=1\)だからといって\(x=1\)とはかぎりません。\(x=-1\)という反例があるため、この命題は偽です。

例題 (命題の証明)

実数\(x、y\)について、\(x+y>0\)ならば\(x>0\)または\(y>0\)であることを証明せよ。

解答

この問題は与えられた命題の真偽と命題の対偶の真偽が一致することを使って証明を行います。
与えられた命題の対偶は「\(x≤0\)かつ\(y≤0\)ならば\(x+y≤0\)である。」です。負の数と負の数を足して0以下になるのは明らかなので、与えられた命題の対偶は真です。命題の真偽とその対偶の真偽は一致するので、与えられた命題は真です。

例題 (背理法)

\(\sqrt{2}\)は無理数であることを示せ。ただし、\(n\)を自然数とする時、\(n^2\)が2の倍数ならば、\(n\)は2の倍数であることを用いてよいものとする。

解答

根号のついた数が無理数であるこのと証明は背理法を使います。
まず、\(\sqrt{2}\)が無理数でないと仮定します。そうすると、\(\sqrt{2}\)は分数で表すことができるので、1以外に正の公約数をもたない自然数\(a、b\)を使って、
\(\sqrt{2}\)=\(\frac{a}{b}\)
と表せます。この時、
\(a=\sqrt{2} b\)
両辺を2乗すると、
\(a^2=2b^2\)
これより、\(a^2\)が2の倍数であるので\(a\)も2の倍数である。よって、ある自然数\(c\)を使って、\(a=2c\)と表せる。これを代入すると、
\(4c^2=2b^2\)
\(b^2=2c^2\)
よって、\(b^2\)は2の倍数であるので\(b\)も2の倍数です。
よって、\(a、b\)は両方とも2の倍数です。これは\(a、b\)が1以外に公約数をもたないことに矛盾します。
よって\(\sqrt{2}\)は無理数です。

苦手克服法

よくある悩み

数学の論理が苦手な人に多いのが、条件や対偶などを考えるときに、よく分からなくなってしまう人です。十分条件と必要条件がどっちかわからなくなってしまったり、命題の対偶を間違えてしまったりといろいろありますね。一番ミスをしやすいのが「かつ」と「または」についてのミスだと思います。

そんなあなたは

数学の論理の問題が苦手な人は、頭で考えるだけでなく、整理しやすいように書いていくといいでしょう。書くと条件や対偶などはミスしづらくなります。さらに「かつ」と「または」のようによく間違えるところは決まっているので、与えられた命題について否定や対偶を考えるときにチェックするポイントを自分で決めておくといいですね。

分からなくなってきたら

この論理という単元では与えられた命題の否定を考えたり、逆を考えたりと頭だけで考えていると途中で分からなくなってしまいます。また、問題に解答するためには、与えられた命題に関して整理し考えていく必要があるので少し手間はかかりますが書いて整理するといいですよ。

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