数列|高校数学のつまずきやすい単元を徹底解説!

数学が苦手なお子さんは中学、高校とも学年が上がっていくごとに増えていきますよね。今回は高校2年生の数学の中でも数列について書いていきたいと思います。数列はここで初めて出てくる内容ですが、理系なら大学入試で必ず出てくる内容です。数Ⅱなどの単元と違い、計算方法や考え方が独特ですね。まずは基本から少しずつ理解していくようにしましょう。


あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書に基づいて高校生のつまずきやすい単元の解説を行っています。

文部科学省 学習指導要領「生きる力」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

数列とその和

数列とはある一定の規則に従って順に並べられた数の列のことで、数のひとつひとつを項といいます。数列には等差数列、等比数列という一般的なものから階差数列、群数列など、様々な数列があります。数列の単元の問題では数列の一般項や数列の和を求めることが多いです。

等差数列・等比数列

等差数列\( \{a_n\} \)の初項を\(a_1\)、公差を\(d\)とすると一般項\(a_n\)は、

\(
\displaystyle a_n = a_1 + (n-1)d
\)

と表すことができます。
この等差数列の初項から第\(n\)項までの和\(S_n\)は、

\(
\displaystyle S_n = \frac{1}{2}n \{ a_1 + a_1 + (n-1)d \} = \frac{1}{2} \{2a_1 + (n-1)d \}
\)

等比数列\( \{a_n\} \)の初項を\(a_1\)、公比を\(r\)とすると一般項\(a_n\)は、

\(
\displaystyle a_n = a_1 r^{n-1}
\)

と表すことができます。
この等比数列の初項から第\(n\)項からの和\(S_n\)は、

\(r \neq 1 \)のとき、
\(
\displaystyle S_n = \frac{a_0 (1-r^n)}{1-r}
\)
\(r=1\)のとき、
\(
\displaystyle S_n = na_1
\)

この数列の単元から\( \Sigma \)という記号が出てきます。この記号はただ単に和を表すだけの記号なので難しく考えないようにしましょう。\( \Sigma \)の定義は、

\(
\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k = a_1 + a_2 + a_3 + \cdots + a_n
\)

のように「繰り返し足し算をする」というだけです。上の式では、\(k\)が1から\(n\)になるまで繰り返し足し算をしています。

いろいろな数列

数列は等差数列や等比数列のような単純なものだけでなく、部分分数分解を利用して和を求めるような数列や等差数列と等比数列を組み合わせたような数列も出てきます。例えば、

\(a_n = (等差数列の項) \times (等比数列の項) \)

といった数列があります。このような数列の和\(S\)を求めるときには、等比数列の公比\(r\)を使って、\(S – rS \)を考えることによって求めることができます。

他にも階差数列や郡数列といった数列があります。数列\( \{ a_n \} \)の隣り合う2つの項の差\( b_n = a_{n+1} – a_n (n=1 , 2 , 3 , \cdots) \)を項とする数列\( \{ b_n \} \)のことを数列\( { a_n } \)の階差数列といいます。この階差数列\( { b_n } \)から、数列\( { a_n } \)を求めることができます。階差数列\( { b_n } \)は隣り合う2つの項の差なので、前の項に\( { b_n } \)を足せば次の項になるということです。なので初項\(a_1\)から階差数列を足していけば、一般項\(a_n\)を求めることができます。

\(
\displaystyle a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} b_k
\)

この他にも、群数列という数列があります。群数列はある集まりに分けられた数列のことをいいます。例えば、自然数\(m\)が小さい順に\(m\)個ずつ並んでいる数列\(1 , 2 , 2 , 3 , 3 , 3 , 4 , 4 , 4 , 4 , \cdots \)について考えましょう。1が1個の集まりを第1群、2が2個の集まりを第2群のように呼びます。群数列では、数列の第\(n\)項を第\(N\)群の\(k\)番目の項と置き換えることがポイントになります。
これらの数列のように数列によって特徴があるので代表的な数列の特徴は抑えておくようにしましょう。

漸化式と数学的帰納法

この「数列」という単元では漸化式、数学的帰納法という数列を利用した内容が出てきます。漸化式は主に数列の一般項を求めるために使います。数学的帰納法は証明の方法ですが、数列を利用しているのでこの単元で出てきます。

漸化式

漸化式とは、数列の各項をその前の項から1通りに定める規則を表す等式のことです。代表的な漸化式の例を紹介します。
等差数列の漸化式は、

\(
a_{n+1} – a_n = d
\)

等差数列の漸化式は、

\(
a_{n+1} = ra_n
\)

のように表されます。
また、\(f(n)\)を階差数列の一般項とすると階差数列の漸化式は、

\(
a_{n+1} = a_n + f(n)
\)

上のように第\(n\)項\(a_n\)を使って第\(n+1\)項\(a_{n+1}\)を表す式が漸化式です。この漸化式を使って数列\( \{ a_n \} \)の一般項を求める、という問題がよく出てきます。

数学的帰納法

数学的帰納法とは、証明の方法の1つです。
自然数\(n\)に関する命題Pが、すべての自然数\(n\)について成り立つことを証明するためには、
①\(n=1\)のときにPが成り立つ。
②任意の自然数kとして、\(n=k\)のときにPが成り立つと仮定した場合に\(n=k+1\)のときもPが成り立つ。
この①と②が両方が証明できればいいという方法です。
これは①と②の両方が成り立てば、\(n=1\)のときに成り立つなら\(n=2\)のときも成り立ち、\(n=2\)のときが成り立つならば\(n=3\)のときも成り立つ、といったように自然数全体で成り立つので証明することができるといった方法です。

例題

数列についての例題をいくつか紹介していきます。

例題 (等差数列・等比数列)

次の数列の一般項\(a_n\)、初項から第\(n\)項までの和\(S_n\)をそれぞれ求めよ。

①\( \{a_n \} = 1 , 3 , 5 , 7 , \cdots \)
②第2項が-6、第5項が162の等比数列

解答


\( {a_n } = 1 , 3 , 5 , 7 , \cdots \)より、初項が1、公差が2の等差数列であるので一般項は、
\(
a_n = 1 + (n-1) \cdot 2 = 2n-1
\)
また、その和は、
\(
\displaystyle S_n = \frac{1}{2} n \{ 2 \cdot 1 + (n-1) \cdot 2 \} = n^2
\)

等比数列の初項を\(a_1\)、公比を\(r\)とすると、第2項、第5項は、
\( a_2 = ar = -6 ,a_5 = ar^4 = 162 \)
よって、\(r^3=-27\)から、\(r=-3 , a_1 = 2\)となるので一般項は、
\(
a_n = 2 \cdot (-3)^{n-1}
\)
その和は、
\(
\displaystyle S_n = \frac{2 \cdot \{ 1-(-3)^n \}}{1-(-3)} = \frac{1-(-3)^n}{2}
\)

例題 (いろいろな数列)

\( 2 \cdot 2 , 4 \cdot 4 , 6 \cdot 8 , 8 \cdot 16 \)の初項から第\(n\)項までの和を求めよ。

解答

\( 2 \cdot 2 , 4 \cdot 4 , 6 \cdot 8 , 8 \cdot 16 \)から、一般項は\( 2n \cdot 2^n \)であるので、求める和を\(S\)とすると、

\begin{eqnarray}
\displaystyle S &=& 2 \cdot 2 + 4 \cdot 4 + 6 \cdot 8 + \cdots \cdots + 2n \cdot 2^n \\
2S &=& \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \, 2 \cdot 4 + 4 \cdot 8 +\cdots \cdots + 2( n-1 ) \cdot 2^n + 2n \cdot 2^{ n+1 }
\end{eqnarray}

となるので、上の2式の差をとって、

\begin{eqnarray}
\displaystyle S – 2S &=& 2 \cdot 2 + 2 \cdot 4 + 2 \cdot 8 + \cdots \cdots + 2 \cdot 2^n – 2n \cdot 2^{ n+1 } \\
\displaystyle -S &=& 2( 2 + 4 + 8 + \cdots \cdots + 2^n ) – 2n \cdot 2^{ n+1 } \\
&=& \frac{ 2 \cdot 2 \cdot (2^n – 1) }{ 2-1 } – 2n \cdot 2^{ n+1 } \\
&=& (1-n) \cdot 2^{ n+2 } – 4
\end{eqnarray}

よって、

\(
\displaystyle S = (n-1) \cdot 2^{n+2} + 4
\)

例題 (数学的帰納法)

すべての自然数\(n\)について、\(6^n – 1\)が5の倍数であることを、数学的帰納法を使って証明せよ。

解答

数学的帰納法を使って証明をする。
(I) \(n=1\)のとき、\( 6^1 – 1 = 5 \)より、5の倍数
(II) \(n=k\)のとき、\( 6^k – 1 \)が5の倍数であると仮定する。

このとき、\(n=k+1\)について考えると
\( 6^{k+1} – 1 = 6 \cdot 6^k -1 = 6( 6^k – 1 ) + 6 – 1 = 6( 6^k – 1 ) + 5 \)
ここで、\(6^k – 1\)は5の倍数であるので、自然数\(m\)を使って、\(6^k – 1 = 5m \)とおける。よって、\( 6^{k+1} – 1 = 6( 6^k – 1 ) + 5 = 5( 6m + 1 ) \) から\( 6^{k+1} – 1 \)も5の倍数である。(I) 、(II)から、すべての自然数\(n\)について、は5の倍数である。

数列攻略法

「数列」の単元の問題は一般項を求めるか和を求めるか、もしくは数学的帰納法を使った証明かのどれかです。規則が複雑な数列の一般項や和を求めるのが一番大変だと思います。一般項は漸化式を使った問題、数列の和は和Sと公比rを使った問題まで解けるようになれば大丈夫です。解き方にはパターンがあるので練習問題をこなせば、解けるようになります。ベクトルもそうですが数学Bの単元はあまりなじみのないような内容なので、練習問題を解きながら慣れていきましょう。

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