こんにちは、あすなろスタッフのカワイです。
今回は基本的な計算方法である「割り算」の仕方について、正の数だけでなく負の数も範囲に入れた計算方法について解説していきます!
もし正負を含む乗法の計算について不安がある方は、乗法を復習してから読み進めてみて下さい!
負の数を含む乗法(掛け算)の復習はこちら↓
【中1数学】負の数を含む掛け算が分からない方必見!考え方と計算方法を解説!
それでは、今回も頑張っていきましょう!
あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書の採択を参考に中学校1年生のつまずきやすい単元の解説を行っています。
参照元:文部科学省 学習指導要領「生きる力」
=もくじ=
新しい用語「除法」「商」を導入!
小学校で「割り算」と呼んでいたものについては、中学校から「除法」という言葉を使います。そして、除法の答えは「商」という言葉を使います。これ以降よく出てくる言葉になるので、しっかり覚えてくださいね!
負を含む除法はどう考えればいい…?
小学校でやってきた正の数だけの割り算と、これからの負の数の範囲を含めた割り算はどう違うのか、二つを比較しながら考えていきたいと思います。
正の数だけの割り算から考えてみる
小学校でやってきた割り算はどのように考えて解いていたか、復習しながら考えてみましょう。
例えば、
\(8÷2\)
という問題が出た時、私たちはどのように考えて解いているかというと、ほとんどの人は、
【\(8\)を\(2\)つに分ける】ですね。
この考え方は正解です。\(8\)を\(2\)つに分けたら\(4\)になります。正しい答えですね。
一方で、割り算というのは、
【\(2\)にある数「\(□\)」を掛けると\(8\)になる、という「\(□\)」を求める】
といった考え方をすることも出来るのです(実はこちらが正しい定義だったりします)。
この考え方でいくと、\(2×□=8\)と書くことが出来て、この\(□\)に\(4\)を入れたらこの式を成り立たせることが出来ます。
では、\(2÷5\)はどのように計算していたでしょうか。
考え方は上でやった通りで問題ないですね。
\(2\)を\(5\)つに分けるという考え方では、\(\frac{2}{5}\)となります。
\(5\)にある数を掛けると\(2\)になるという考え方では、\(5×□=2\)より、\(□=\frac{2}{5}\)
となり、一つ目の考え方と同じ答えになりますね。
負の数を含んだ割り算では…?
負の数を含んだ割り算では、後者の
【〇にある数を掛けると△になる\(□\)】
の考え方で解くことが出来ます。
どうしてかというと、1つ目の考え方は「元々のものを分ける」というように、物(ピザやケーキなど)をベースにしたような考え方になりがちだからです。
負の数を含めると「\(-1\)枚のピザを分ける」という風に考えなければいけないので、現実味が無いですよね。
一方で、もう一つの考え方は乗法がベースになっているので、負の数が来てもへっちゃらです!
さて、具体的にどのように解いていくのか、例を挙げながら解説していきたいと思います!
負の数を含む除法の具体例
小学校の時の割り算と比較しやすい様に、\(8÷4\)をベースに3つの例題を解いてみましょう。
例1.\(-8÷4\)
負の数を正の数で分ける…と考えるのは今のところ難しいので、乗法ベースの考え方にしてみましょう。すなわち、【4に□を掛けると-8になる】という計算式に書き換えます。すると、
\(4×□=-8\)
となります。乗法より、\(□\)に入る値は\(-2\)です。従って、
\(-8÷4=-2\)
となります。
これを\(8÷4=2\)という式と比較してみると、絶対値は同じで、商の符号だけ違うということが分かります。このことから、計算中の符号が変わっても、その絶対値は変わらないということが分かりますね。
例2.\(8÷(-4)\)
今度は負の符号の付く場所が\(8\)から\(4\)に変わりました。これをまた乗法の形に直して考えると、
\(-4×□=8\)
となります。\(□\)に入る値は\(-2\)となるので、
\(8÷(-4)=-2\)
となります。
例3.\((-8)÷(-4)\)
最後は、\(8\)にも\(4\)にも負の符号が付いています。これも例1.例2.と同じように解いていきましょう。
乗法の形に直すと、
\((-4)×□=(-8)\)
となります。\(□\)に入る値は\(2\)となるので、
\((-8)÷(-4)=2\)
となります。
例1.例2.と同様に、商の絶対値は2となりました。一方で、例1.例2.の商は負でしたが、今回の商は正となっています。
これはどうして…?と考えたときに、積の符号と式中の符号の関係を思い出してみてください。
- 負の数が奇数個あれば、積は負となる。
- 負の数が偶数個あれば、積は正となる。
というものがありましたね。これより、「乗法の形にしたときに”式”と”答え”の符号が異なる」例1.と例2.の商は負に、「”式”と”答え”の符号が等しい」例3.の商は正となったのです。
ここでいう”式”と”答え”というのは、除法でいう”〇÷△”の部分に他なりません。
ということは、最初の式を見た段階で、商の符号が分かるということです。
一旦頭を整理しましょう。
ちょっと回りくどい説明になってしまったのでまとめると、
2つの数の商を求めるとき
- 2つの数が同符号の場合(正の数÷正の数 もしくは 負の数÷負の数)は商は正の数
- 2つの数が異符号の場合(正の数÷負の数 もしくは 負の数÷正の数)は商は負の数
となります。このときの絶対値は、小学校の時の割り算と変わりません。
最後に、もう1問例題を見ていきましょう。
例4.\(2÷(-5)\)
さて、上でまとめたように、2つの数が同符号か異符号か見てみます。この場合、\(2\)は正の数で\(-5\)は負の数なので、異符号の場合を考えればいいということになります。なので、商の符号は負となります。
商の絶対値については\(2÷5\)と変わらないので、計算すると絶対値は\(\frac{2}{5}\)となります。
商の符号は負なので、
\(2÷(-5)=-\frac{2}{5}\)
となります。
3つ以上の数の割り算のときは?
3つの数の割り算の時も、考え方は変わりません。例えば、
\(10÷(-2)÷(-5)\)
という割り算の計算を考えてみましょう。
前から順番に計算していけばいいので\(10÷(-2)\)から考えていきます。\(10\)と\(-2\)は異符号なので、その答えは負となります。
絶対値の計算は\(10÷2=5\)なので、答えは\(-5\)です。
次に、その答えを\(-5\)で割ります。
\((-5)÷(-5)\)では、同符号なのでその答えは正になります。
絶対値の計算は\(5÷5=1\)なので、答えは\(1\)です。
同様に、\(10÷2÷(-5)\)も考えてみましょう。
前から順番に計算していけばいいので\(10÷2\)から考えていきます。\(10\)と\(2\)は同符号なので、その答えは正となります。
絶対値の計算は\(10÷2=5\)なので、答えは\(5\)です。
次に、その答えを\(-5\)で割ります。
\(5\)と\(-5\)は異符号なので、その答えは正になります。
絶対値の計算は\(5÷5=1\)なので、答えは\(-1\)です。
今計算した式を比べてみると、
- 最初の式には負の数が2つで答えは正
- 2番目の式には負の数が1つで答えは負
ということが分かります。
察しの良い人は分かったかもしれませんが、符号が正と負のどちらになるかは、負の符号の数によって決まります!負の数を含むかけ算と同じという事です!
これをまとめると、
- 負の数が奇数個のとき商は負(-)になる
- 負の数が偶数個のとき商は正(+)になる
という事になります。
まとめ
大切な事なので、負の数を含むときの商についてまとめたものを、もう一度載せますね。
2つの数の商を求めるときは
- 2つの数が同符号の場合(正の数÷正の数 もしくは 負の数÷負の数)は商は正の数
- 2つの数が異符号の場合(正の数÷負の数 もしくは 負の数÷正の数)は商は負の数
3つ以上の数の商の符号
- 負の数が奇数個のとき商は負(-)になる
- 負の数が偶数個のとき商は正(+)になる
商の絶対値については、式中の符号がすべて正である小学校の時の割り算と変わりません!
従って、小学校の割り算さえ解けるのであれば、後は商の符号に注意するだけということになります。
何故除法に負の数を含んだものも計算できるの?ということについてですが「除法は乗法がベースになっているから」です。
物をベースに掛け算や割り算を考える場合、”それは正の数しかない世界でしか通用しない”と割り切らないと、中々理解するのが難しいです。
乗法の解説ページでは位置と時間の関係から負の数について考える方法を紹介していますので、よろしければ参考にしてみて下さい!
やってみよう!
次の計算をしてみよう。
- \(12÷(-3)\)
- \(-4÷4\)
- \((-72)÷(-8)\)
- \(36÷(-6)\)
- \((-5)÷(-8)\)
- \((-11)÷13)\)
- \((-1)÷(-1)÷(-1)÷(-1)÷(-1)\)
こたえ
- \(-4\)
【解説】\(12\)と\(-3\)は異符号なので、答えは負となる。絶対値の計算は\(12÷3=4\)なので、答えは\(-4\) - \(-1\)
【解説】\(-4\)と\(4\)は異符号なので、答えは負となる。絶対値の計算は\(4÷4=1\)なので、答えは\(-1\) - \(9\)
【解説】\(-72\)と\(-8\)は同符号なので、答えは正となる。絶対値の計算は\(72÷8=9\)なので、答えは\(9\) - \(-6\)
【解説】\(36\)と\(-6\)は異符号なので、答えは負となる。絶対値の計算は\(36÷6=6\)なので、答えは\(-6\) - \(\frac{5}{8}\)
【解説】\(-5\)と\(-8\)は同符号なので、答えは正となる。絶対値の計算は\(5÷8=\frac{5}{8}\)なので、答えは\(\frac{5}{8}\) - \(-\frac{11}{13}\)
【解説】\(-11\)と\(13\)は異符号なので、答えは負となる。絶対値の計算は\(11÷13=\frac{11}{13}\)なので、答えは\(-\frac{11}{13}\) - \(-1\)
【解説】負の数が5個(奇数)なので、答えは負となる。絶対値の計算は\(1÷1÷1÷1÷1=1\)なので、答えは\(-1\)
最後までご覧いただきありがとうございました。
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