こんにちは、あすなろスタッフのカワイです。
多項式同士の掛け算には、4つの公式があります!
今回は、この公式はどのように導き出されたものなのか、そして実際の計算でどのように用いられるかについて解説していきます!
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この記事は数学の教科書に基づいて中学校3年生のつまずきやすい単元の解説を行っています。
文部科学省 学習指導要領「生きる力」
=もくじ=
4つの乗法公式
乗法公式はこの4つです。
- \((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)
- \((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\)
- \((x-a)^{2}=x^{2}-2ax+a^{2}\)
- \((x+a)(x-a)=x^{2}-a^{2}\)
この公式を見たときに分かると思いますが、基本的に「同じ変数を含む」かつ「互いの多項式の項数が2」の多項式に使用することが出来ますが、考え方を拡張することでそれ以外の場合でも使うことが出来ることがあります。
では、1番上の公式から順に考えていきましょう。
\((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)
まず、\((x+a)(x+b)\)を普通の解き方で解いていきます。これらは4つの項を含む式に分解することが出来るので、
$$(x+a)(x+b)=x×x+x×a+x×b+a×b$$
$$=x^{2}+ax+bx+ab$$
ここで、\(ax\)と\(bx\)は同類項であるので、これをまとめると、
$$=x^{2}+(a+b)x+ab$$
となります。これは上記の式に一致しました。
\((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\)
次は同じ多項式同士が掛けられている場合、すなわち、2乗となっている場合にこのように展開できるという公式です。
この式の左辺は\((x+a)(x+a)\)と書くことが出来ますが、これは1つ目の公式\((x+a)(x+b)\)の\(b\)が\(a\)に変わっただけと言えます。したがって、1つ目の公式の\(b\)を\(a\)に置き換えると、
$$=x^{2}+(a+a)x+ab$$
$$=x^{2}+2ax+ab$$
となります。これはたしかに2つ目の公式に一致します。
\((x-a)^{2}=x^{2}-2ax+a^{2}\)
これは2つ目の式の左辺\((x+a)^{2}\)が\((x-a)^{2}\)に変わっただけの式になります。これを解いていくと、
$$(x-a)(x-a)=x×x+x×(-a)+x×(-a)+(-a)×(-a)$$
$$=x^{2}-ax-ax+a^{2}$$
ここで、\(-ax\)と\(-ax\)は同類項なので、
$$x^{2}-2ax+a^{2}$$
となります。これは3つ目の公式と確かに一致しています。
2つ目の公式と比較すると\(+2ax\)が\(-2ax\)に変わっているだけなので、2つ目の公式と3つ目の公式はほとんど同じだとわかりますね。
\((x+a)(x-a)=x^{2}-a^{2}\)
最後はこの式です。絶対値が等しく符号が異なる2つの項がある\((x+a)\)と\((x-a)\)の積を計算していきます。
$$(x+a)(x-a)=x×x+x×(-a)+x×a+a×(-a)$$
$$x^{2}-ax+ax-a^{2}$$
ここで\(-ax\)と\(ax\)は相殺されるので、
$$x^{2}-a^{2}$$
となります。これも公式に一致しています。
このような4つの公式を用いることで、多項式の計算を効率的に解くことが出来ます!早速例題を解いてみましょう。
公式を用いて例題を解いてみよう!
\((x+2)(x-3)\)
掛け合わされた2つの多項式が(x+〇)となっているので、公式が使えそうです。数字のみの項の絶対値が違うので、\((x+a)(x+b)\)の公式を使って解いていきましょう。
\(a\)を\(2\)、\(b\)を\(-3\)と置きます。
$$(x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab$$
という公式の\(a\)と\(b\)をそれぞれ置き換えると
$$(x+2)(x-3)=x^{2}+(2-3)x+2×(-3)$$
$$=x^{2}-x-6$$
となります。
\((x+3)^2\)
この式は2つ目の公式で解くことが出来ます。
$$(x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}$$
より、\(a\)を\(3\)と置くと、
$$(x+3)^{2}=x^{2}+2×3x+3^{2}$$
$$=x^{2}+6x+9$$
となります。
\((y-4)^{2}\)
変数が\(x\)でなくても同様に、公式を用いて考えることが出来ます。
$$(y-a)^{2}=y^{2}-2ay+a^{2}$$
より、\(a\)を\(4\)と置くと、
$$(y-4)^{2}=y^{2}-8y+16$$
となります。
\((x-2)(x+2)\)
数字の部分の絶対値が等しいので、4つ目の公式が使えます!
$$(x-a)(x+a)=x^{2}-a^{2}$$
\(a\)を\(2\)と置くと、
$$(x-2)(x+2)=x^{2}-4$$
となります。
まとめ
いかがでしたか?いきなり公式を覚えるのは大変ですが、問題を解いていくうちに自然と身についていくと思います。これらの公式は他の単元でもよく用いられるので、しっかり覚えるようにしましょう!
やってみよう!
次の問題を解いてみましょう。
- \((x+5)(x+3)\)
- \((x+4)(x-4)\)
- \((x+2)^{2}\)
- \((x-5)^{2}\)
ヒント:下の多項式を用いてよい
- \((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)
- \((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\)
- \((x-a)^{2}=x^{2}-2ax+a^{2}\)
- \((x+a)(x-a)=x^{2}-a^{2}\)
答え
- \(x^{2}+8x+15\)
【解説】1つ目の公式を利用して考えてみる。\(a=5\),\(b=3\)とすると、\((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)→\((x+5)(x+3)=x^{2}+(5+3)x+5×3\)
これを整理すると答えとなる。 - \(x^{2}-16\)
【解説】4つ目の公式を利用して考えてみる。\(a=4\)とすると、\((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\)→\((x+4)^{2}=x^{2}+2×4x+4^{2}\)
これを整理すると答えとなる。 - \(x^{2}+4x+4\)
【解説】2つ目の公式を利用して考えてみる。\(a=2\)とすると、\((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\) →\((x+2)^{2}=x^{2}+2×2x+2^{2}\)
これを整理すると答えとなる。 - \(x^{2}-10x+25\)
【解説】3つ目の公式を利用して考える。\(a=5\)とすると、\((x-a)^{2}=x^{2}-2ax+a^{2}\)→\((x-5)^{2}=x^{2}-5×2x+5^{2}\)
これを整理すると答えとなる。
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