数学が苦手なお子さんの数は中学、高校とも学年が上がっていくごとに増えていきますよね。特に中学から高校に上がって高校1年生から分からなくなってしまう人が多いです。今回は高校1年生の数学の中でも整数の性質についてです。整数は小学校から触れてきた身近な分野でありながら今まで使ってなかった様々な性質があります。ここでは整数の性質の応用について書いていきたいと思います。
あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書に基づいて高校生のつまずきやすい単元の解説を行っています。
文部科学省 学習指導要領「生きる力」
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整数の性質の応用
この整数の性質の応用という分野で紹介するのは記数法と小数についてです。記数法とは文字や記号と一定の規則を使って数を表現する方法のことで、ここでは10進法や2進法などの位取りの記数法について書いていきたいと思います。
「整数の性質という単元なのに何故小数?」と思うかもしれませんが、整数の性質を使うことによって、分数が有限小数か循環小数かをすぐに見分けることができるようになります。
n進法
10の累乗の位取りによる記数法を10進法といい、10進法で表された数を10進数といいます。10進数はどの位の値も0以上9以下の整数です。これに対して2の累乗の位取りによる記数法を2進法といい、2進法で表された数を2進数といいます。2進数はどのくらいの値も0または1です。具体的な例を挙げると、10進数の2019は\(2×10^3+0×10^2+1×10^1+9×10^0\)を表していて、2進数の1001は\(1×2^3+0×2^2+0×2^1+1×2^0\)を表していて、10進数で表すと\(8+0+0+1=9\)となります。2進数では10進数と区別するために添え字を使って\(1001_{(2)}\)という風に表します。10進数では、\(2019_{(10)}\)右下の\((10)\)は省略して、\(2019\)と書きます。一般に、nの累乗の位取りによる記数法をn進法といい、n進法で表された数をn進数といいます。
有限小数と循環小数
分数は以下のようにして有限小数か循環小数か見分けることができます。
『\(m、k\)を自然数とすると、次のことが成り立つ。
既約分数\(\frac{m}{k}\)が有限小数 ⇔ 分母のkが2または5だけの素因数をもつ。
既約分数\(\frac{m}{k}\)が循環小数 ⇔ 分母kが2と5以外の素因数をもつ。』
つまり、もう約分できない状態の分数の分母の素因数が2または5だけなら有限小数、他の素因数が混じっていれば循環小数です。
よくある例題
今回の内容についての例題をいくつか紹介していきます。
例題 (有限小数と循環小数)
次の分数を小数で表したとき、有限小数になるか循環小数になるか調べよ。
①\(\frac{1}{32}\)➁\(\frac{1}{150}\)③\(\frac{9}{150}\)
解答
①分母\(32=2^5\)から、分母の素因数は2だけなので有限小数。
➁分母\(150=2^1×3^1×5^2\)から、分母の素因数に2と5以外の数があるので循環小数。
③まず\(\frac{9}{150}\)を既約分数で表すと、\(\frac{9}{150}=\frac{3}{50}\)
ここで、分母\(50=2^1×5^2\)から、分母の素因数は2と5だけなので有限小数。
例題 (n進法)
次の数を10進数で表せ。
①\(1101_{(2)}\)➁\(2012_{(6)}\)③\(10.11_{(2)}\)
解答
①\(1101_{(2)}=1×2^3+1×2^2+0×2^1+1×2^0=8+4+1=13\)
➁\(2012_{(6)}=2×6^3+0×6^2+1×6^1+2×6^0=432+6+2=440\)
③\(10.11_{(2)}=1×2^1+0×2^0+1×2^(-1)+1×2^(-2)=2+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}=\frac{11}{4}\)
小数点以下の数については右肩の数が負の数になるので分数が出てきます。
例題 (n進法)
次の10進数を[ ]内に書かれた記数法で表せ。
①15[2進法] ➁77[3進法] ③\(\frac{3}{16}\)[2進法]
解答
①\(15=2×7+1=2×(2×2+2+1)+1=2^3+2^2+2^1+2^0=1111_{(2)}\)
➁\(77=3×25+2=3×(3×3×2+3×2+1)+2\)
\(=2×3^3+2×3^2+1×3^1+2×3^0=2212_{(3)}\)
③\(\frac{3}{16}=\frac{(2×1+1)}{2^4}\)
\(=2^{-3}+2^{-4}=0.0011_{(2)}\)
10進数の分数を別の記数法で表すときは、小数点以下の値が出てきます。
整数の性質の応用で気を付けるべきこと
今回書いた内容はそんなに難しくもなく分かりやすい内容だと思います。しかし、問題を解くと間違えてしまうということがあると思います。特に有限小数と循環小数を見分ける問題でよくある間違いが既約分数の分母だけを見ればいいのに分子まで見てしまうという間違いです。n進法と10進法の変換問題で一番気を付けなければならないのは途中での計算ミスなので、計算した後に逆算して合っているかどうか確かめるようにしましょう。