こんにちは、家庭教師のあすなろスタッフのカワイです。
今回は中学数学最後の単元である「三平方の定理」とは何か、どのように使えるのか、ということを解説していきます。
この定理は実用性が意外とあるので、勉強しておくと便利かもしれません。
それでは、今回も頑張っていきましょう。
あすなろには、毎日たくさんのお悩みやご質問が寄せられます。
この記事は数学の教科書の採択を参考に中学校3年生のつまずきやすい単元の解説を行っています。
=もくじ=
三平方の定理とは?
三平方の定理とは、古代ギリシアの数学者である「ピタゴラス」の名前を取って、「ピタゴラスの定理」と呼ぶこともある定理で、「直角三角形の3辺の長さの関係」表す定理です。
直角三角形とは、中学数学で散々見てきた
これですね。2辺が直角(すなわち90°)となるように接し、その2辺の端を繋ぐ斜めの線を付けることで完成するこの図形、この長さの関係は実は三平方の定理によって決まっているのです。
具体的に、どんな関係となっているのか、定理を見て確認してみましょう。
定理
三平方の定理は、
\(a^{2}+b^{2}=c^{2}\)
となります。ここで\(a\)と\(b\)は直角を形成する辺であり、\(c\)は斜めに引かれる辺となります。
上の図の辺と記号を合わせてあるので、式と図を見比べてみてください。
言葉で説明すると、直角三角形の斜めの線の2乗は、残りの2辺をそれぞれ2乗して足し合わせた値に等しいということです。
直角三角形の代表的な関係
この定理本当なの?と思う人がいると思うので、皆さんが見慣れている2つの直角三角形でこの関係を満たしているのかどうか、調べてみましょう。
見慣れている2つの直角三角形とはすなわち
と
です。
これらは、皆さんの多くが持っている三角定規と同じ寸法です。
上の直角三角形については①、下の三角形については②としましょう。
①は、直角をつくる2辺の長さが等しく、残り1辺が\(\sqrt{2}\)の直角三角形です。
これを上の定理に当てはめて考えていくと、\(a\)と\(b\)には直角をつくる辺である\(1\)が入り、\(c\)には\(\sqrt{2}\)が入るので、定理の左辺は、
\(a^{2}+b^{2}=1^{2}+1^{2}=2\)
定理の右辺は、
\(c^{2}=(\sqrt{2})^{2}=2\)
となります。
左辺と右辺の結果が等しいので、この場合については確かに正しいことが確認できますね。
②は、直角をつくる2辺の長さの比が\(1:2\)となっていて、残り1辺は\(\sqrt{3}\)となっている直角三角形です。
これも同じように当てはめると、\(a\)と\(b\)に\(1\)と\(\sqrt{3}\)が入り(どちらでもOK)、\(c\)に\(2\)が入ります。定理の左辺は、
\(a^{2}+b^{2}=1^{2}+(\sqrt{3})^{2}=4\)
定理の右辺は、
\(c^{2}=2^{2}=4\)
となります。こちらでも、左辺と右辺の答えが等しいので、この場合でも、三平方の定理は正しいことが分かります。
さて、代表的な2つの直角三角形については、三平方の定理が正しいことが分かりましたが、他の一般的な直角三角形についてはどうでしょうか?
定理を紹介した時に示した、辺の長さが\(a\),\(b\),\(c\)という直角三角形を用いて証明したいと思います。
証明
教科書に載っていることが多い証明になりますが、次のような図形を考えます。
この図形は上で示した直角三角形を4つ組み合わせた図形になっていて、外側の正方形の辺の長さは\(a+b\)、内側の正方形の辺の長さは(c\)となっています。さて、これらの面積を\(a\),\(b\),\(c\)を用いて表してみます。
上の図を見れば分かる通り、外側の正方形の面積\((a+b)^{2}\)は、\(abc\)で囲われた直角三角形4つの面積と、内側の正方形の面積を足したもので表されていますね。従って、これを式で表すと、
\((a+b)^{2}=\frac{ab}{2}×4+c^{2}\)
\(a^{2}+2ab+b^{2}=2ab+c^{2}\)
ここで、両辺の\(2ab\)が消去されるので、
\(a^{2}+b^{2}=c^{2}\)
となります。これは三平方の定理で示した式と一致します。
従って、確かに\(a^{2}+b ^{2}=c^{2}\)という関係は正しいことが分かります。
直角三角形の元々の辺の長さではなく、各辺を2乗したものがこのような関係を持つ、というのがとても面白い点ですね。
ちなみに、他にもこの関係を証明する方法はあるので、気になった方は調べてみてください。
では、三平方の定理を用いた例題を軽く紹介して、理解をより深めていきたいと思います。
【例題】2辺の長さが分かっている直角三角形、もう1辺の長さを求めてみよう!
1問目
直角三角形の1辺の長さを求めよ、という問題があったとき、三平方の定理を使えば簡単に求めることが出来ます。上の図形の?の辺の長さを求めていきましょう。
この直角三角形の場合、斜めの辺の長さが\(5\)、直角をなす1辺の長さが\(4\)と分かっているので、この値を三平方の定理に当てはめると、
\(4^{2}+b^{2}=5^{2}\)
となります。\(b\)は直角をなすもう1辺の長さです。
これを\(b\)について解いていくと、
\(b^{2}=5^{2}-4^{2}\)
\(b^{2}=25-16\)
\(b^{2}=9\)
\(b=±3\)
となります。ここで、辺の長さは正の数ですから、
\(b=3\)
となります。従って、もう1辺の長さは\(3\)です。
2問目
次は、直角をなす2つの辺が分かっており、その長さは\(2\)と\(3\)です。この直角三角形の?の辺の長さを求めていきましょう。
この問題も、残りの辺を三平方の定理によって求めることが出来ます!
直角をなす2辺は、定理で示した式の左辺に入るので、\(a=2\)、\(b=3\)として当てはめてみると、
\(2^{2}+3^{2}=13=c^{2}\)
したがって、
\(c^{2}=4+9=13\)
\(c=\sqrt{13}\)
となります。上の直角三角形の分からなかった辺の長さは\(\sqrt{13}\)です!
このように、定規などで実際に測るのは無理な値でも、計算によって一意に求めることが出来てしまいます。
三平方の定理より、直角三角形かどうか判断できる!
さて、ここまでの話では、「三平方の定理により、直角三角形の3辺の関係が決まっている」ということを解説してきました。
これを逆に考えると、「3辺の長さが三平方の定理に一致する三角形は直角を持つ」ということが言えます。
言い換えれば、三角形の3辺の長さが分かれば、その図形の実際の形を見なくとも直角三角形かどうか判断することが出来るということです!
実際に一問考えてみましょう。
【例題】ある3辺をもつ三角形は直角三角形かどうか調べてみよう!
例.辺の長さが、\(1\),\(\sqrt{3}\),\(\sqrt{2}\)である三角形
この三角形が直角三角形かどうか考えるときに、まず頭に入れるべきことは、
「直角三角形では、斜めの辺が最も長い辺となる」
ということです。上に示された辺の中で一番長い辺は\(\sqrt{3}\)なので、これを三平方の定理でいう\(c\)の部分に、残り2辺を\(a\)と\(b\)に当てはめて、三平方の定理が成り立つかどうか調べればいいのです。
それ以外の組み合わせで考える必要はありません!
さて、実際に代入してみると、定理の左辺は、
\(a^{2}+b^{2}=1^{2}+(\sqrt{2})^{2}=1+2=3\)
となり、定理の右辺は、
\(c^{2}=(\sqrt{3})^{2}=3\)
となります。左辺と右辺の答えが等しいことから、この3辺をもつ三角形は直角三角形となる、
ということが分かります。
このように計算していき、もし左辺と右辺の答えが違えば、それは「直角三角形ではない」ということになります。
まとめ
- 三平方の定理とは「直角三角形の辺の長さの関係」を示した定理であり、
直角をなす2辺を\(a\)と\(b\)、2辺に対し斜めにとる残り1辺を\(c\)とすると、
「\(a^{2}+b^{2}=c^{2}\)」
と表される。
やってみよう!
- 次の直角三角形の辺の長さを求めてみよう。
- 次の3辺をもつ三角形は直角三角形かどうか調べてみよう。
- \(2\),\(\sqrt{5}\),\(1\)
- \(4\),\(5\),\(6\)
- \(5\),\(12\),\(13\)
こたえ
- 次の直角三角形の辺の長さを求めてみよう。
- \(3\sqrt{5}\)
【解説】
三平方の定理に当てはめると、
\(3^{2}+6^{2}=9+36=45\)
となり、この値に平方根を取った値が辺の長さとなるから、
\(\sqrt{45}=3\sqrt{5}\)
となり、答えは\(3\sqrt{5}\)。 - \(2\sqrt{6}\)
【解説】
三平方の定理に当てはめると、
\(1^{2}+?^{2}=5^{2}\)
より、\(?^{2}=25-1=24\)
\(?=\sqrt{24}=2\sqrt{6}\)
となるので、答えは\(2\sqrt{6}\)。
- \(3\sqrt{5}\)
- 次の3辺をもつ三角形は直角三角形かどうか調べてみよう。
- 直角三角形である。
- 直角三角形ではない。
- 直角三角形である。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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